デスクトップ用の GPU をそのまま増設できるような特異な機種は取り上げません。
一般的には、ノート PC ではグラフィックスを強化する方法はなく、本体を買い替えるしかないと思われていますが、方法が全くないわけでもありません。
GPU の接続には PCI Express が用いられているわけですが、たとえばノート PC に搭載されていることも多い
- MXM (Mobile PCI Express Module)
- ExpressCard
- PCI Express Mini Card
- M.2 (の一部)
- Thunderbolt
はいずれも PCI Express の技術を使用している技術ですが、PC にこれらのポートが搭載されていて、PC 内部の PCI Express バスにつながっている場合、スロットの形状は違っても電気的に接続できるように形を変換してくれるアダプターを付ければデスクトップ用の GPU が使えるというわけです。で、そのアダプターが下に挙げた PE4H などの製品というわけです。
以下のような選択肢が利用可能な場合があります。
- 交換可能なタイプ (MXM など) なら既存の GPU を交換する。
- ExpressCard スロットに eGPU を接続する。
- PCI Express Mini Card スロットに eGPU を接続する。
- Thunderbolt ポートに eGPU を接続する。
やったことがあるのは 1 だけですが、eGPU というのに興味があったことがあり、ちょっと調べてみたので忘れないうちに軽くまとめときます。
交換可能なタイプ (MXM など) なら既存の GPU を交換する
このうち、MXM (Mobile PCI Express Module) についてはこのブログで多く取り上げてきたのでそちらに譲ります。これが最も犠牲の少ない方法なので、お使いの PC がこのタイプならこれがおすすめです。
PC 本体の外観は全く変わりませんし、PCI Express バスの帯域幅も最大で 3.0 16x レーンですから、パフォーマンスも最も高いです。つまり帯域幅に関しては通常のデスクトップ PC と同じです。
必要なものは張り替え用の熱伝導グリスと熱伝導パッド(非推奨ですがはがして再利用する場合は不要な場合もあり)です。
この方式の難点は、PC 本体とカードの組み合わせによっては動かないこともあるということです。
事前にどの組み合わせで動くか、という情報があればいいんですが、英語圏といえどもなかなか情報はなかったりします。当ブログの YouTube チャンネルでも連日質問を受けていますがなかなか回答できていません。
ダメもとでやる場合、MXM カードは非常に高価なので、無駄な買い物になるリスクが高いです。
ExpressCard スロットに eGPU を接続する
ExpressCard は多くの PC に搭載されていますので、多くの PC で利用できる方法です。
この方式は要するに、ExpressCard スロットにデスクトップ用の PCI Express の GPU を装着できるアダプターを装着して行います。
アダプターには例えば PE4L、PE4H などの製品があります。ものすごい特殊用途な製品ですが、言ってみれば下駄みたいなものなのでそんなに言うほど高くはありません。
GPU への電源供給ができるデスクトップ用の電源などを別途用意する必要があります。
映像出力は 2 通りの方法があります。
- GPU の DisplayPort からノート PC とは別のモニターに表示して行う方法。別途モニターを用意する必要があります。
- ノート PC のモニターにディスプレイ複製機能などで表示する方法。
この方式の利点は、単に ExpressCard スロットに eGPU を装着するだけなので分解が不要で、PC 本体への変更は最小限だということです。
Mini Card 方式と違って既存の機能との排他利用になりません。
欠点は、ExpressCard スロットの PCI Express は x1 2.0 なので、一般的なデスクトップや MXM の帯域幅に比べて 1/10 すらない程度でしかないということです。
ゲームではもともと帯域幅は大して必要とされませんので一応、ゲーム用途ではこれでも立派に動きます。しかし時代とともに要求される帯域幅はどんどん多くなってきていますので、確実にボトルネックになりつつあるのは事実です。
で、気になる互換性ですが、刺すだけなら ExpressCard スロットがあればさせるので問題ないのですが、互換性となると完全ではないようで結構動かないこともあるそうです。自分の使っているシステムと使いたいカードの組み合わせでググってみて、見つからなかったらやめた方が無難だと思います。
なお、ExpressCard 規格をメンテしていた団体の PCMCIA は 2009 年に解散してしまったそうで、現在は USB-IF にてメンテされているようです。
PCI Express Mini Card スロットに eGPU を接続する
PCI Express Mini Card (俗に言う Mini PCI Express、Mini PCIe) は無線 LAN モジュールの接続などによく利用されている方式で、同様に多くの PC に搭載されています。
この方法は、ノート PC の内部にある Mini Card スロットに、デスクトップ用の GPU を接続できるアダプターを接続して行います。例えばこんな製品です。
同様に電源は別途用意する必要があります。
映像出力についても ExpressCard の場合と同じです。
レーン数は同じく x1 なのでパフォーマンスは変わらないでしょう。
欠点は Mini Card のスロットの位置と配線の取り回しになります。スロットが本体の底面にあればやりやすいパターンです。しかしキーボード下にあったりすると配線の取り回しが困難です。
また、Mini Card スロットからの配線を取り出して行うわけなので、底面のカバーはとれたままになります。持ち上げたりするときにうっかり電子部品に触ると壊れたりするリスクがあります。
さらに注意点として、PC メーカーによっては無線 LAN/WAN スロットに装着できるデバイスをホワイトリスト的に排除している場合があります (HP など)。上記の画像の機種 (8570w) がまさにそれです。その場合もともとついているモジュールを取り外して eGPU を装着しても使えません。BIOS を改造して何とかするというなら別ですけど。
それができたとしても、Mini Card スロットにもともとついている無線 LAN などを取り外してしまうわけですから、必要なら別途用意する必要があります。
結局そんなことをしていたら普通にデスクトップ PC を買った方が早い・安いということになりがちです。
互換性についても同じです。
M.2 スロットに接続する
PCI Express Mini Card 規格の後継として普及してきた M.2 規格のスロットに接続するタイプも登場しているようです。PCI Express のレーンは x4 なので、ボトルネックは大幅に解消されているでしょう。Thunderbolt 接続で eGPU を利用する
これは最近出てきた方法のようです。Thunderbolt ポートは PCI Express をベースにしているため GPU の接続が可能なようです。
PCI Express のレーンは x4 で、帯域幅が広いため、ExpressCard や Mini Card 接続に比べるとボトルネックが少ないようです。
Thunderbolt 3 eGPU solutions arriving 4th quarter 2015, mainstream in 2016
リンク集
使える組み合わせなどの情報がまとめられているサイトへのリンクを張っておきます。どれもものすごい情報量です。
DIY eGPU experiences [version 2.0]
DIY eGPU experiences
How to transform your laptop into a gaming powerhouse with an external graphics card
メーカー・販売サイトなど
Bplus Technology
EXP GDC Beast
http://www.gearbest.com/laptop-accessories/pp_229101.html
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