タオバオで 15000 円強で買った Quadro K2200M を 8570w に装着してみました。
このカードの特徴は以下のようなものです。
公式サイトはこちら
HP のワークステーショングラフィックス紹介 PDF はこちら
概要をおさらいしておくと・・・
- Maxwell アーキテクチャー
- 2 GB GDDR5 メモリー 80.2 GB/s
- MXM-A 型だが MXM-B プラットフォーム向け
- 消費電力 65 W
- 性能はおおむね GeForce GTX 960M 並み
動作するか?
当方の 8570w はもともと FirePro M4000 という TDP 33 W のカードがついていましたので、それから比べると消費電力は 32 W 増しでほぼ 2 倍ということになります。
純正設定されているビデオカードでは Quadro K2000M の 55 W が最高なのでそれから比べれば 10 W 増しです。
したがって電源容量や発熱などに不安があります。また、VBIOS の互換性も心配です。
一応、8570w、8560w で使用できるという情報はありましたが。
結論から言うと、使用することはできました。
VBIOS は 80.07.5F.00.09 という Dell の VBIOS が入っていて、まったく書き換える必要はありませんでした。
デバイスドライバーを導入するには .inf に少し書き加える必要があります。したがってデジタル署名は利用できません。
ただ、負荷をかけた状態での放熱には結構問題がありました。
分解
バッテリーを外し、分解します。以下のコンポーネントを順番に外す必要があります。
サーマルパッドは新品を用意しておいた方がいいでしょう。ebay などで安く買えます。
- サービスドア
- 光学ドライブ
- ハードディスク
- キーボード
- パームレスト
- ヒートシンク・ファン
- ビデオカード (MXM)
詳しい分解方法については、K2100M に交換した際の過去記事をご覧ください。
組み立て
分解したら、バックプレート(ブラケット)を張り替えて、サーマルパッドを張りつけ、グリスを塗り、組み立てます。
火入れ
そのまま電源を入れます。VBIOS は 80.07.5F.00.09 というバージョンで、書き換える必要はありませんでした。このまま使用します。
1 回だけ再起動しますが、普通に Windows 10 が起動します。
次にドライバーを当てようと思い、NVIDIA 公式サイトから拾ってきてインストールしようとしますが、サポートされていないとか出てインストールできません。
どうやら、このモデルに K2200M を装着することは想定されていないようです。
.inf Modification Method
ただし、それでも NVIDIA のドライバーをインストールする方法はあります。とても簡単です。
「HP の PC で K2200M をサポートしているモデル用のドライバー」がインストールされるように、.inf を書き換えてしまえばいいだけです。要するに、この 8570w (モデルコード 176B) も対応機種として追記するような形となります。
8570w のモデルコード : 176B
Quadro K2200M のデバイス PCI ID : 13B3
HP のベンダー ID : 103C
当方はこのサイトの情報を参考に行いました。
方法は以下の通りです。
普通に NVIDIA からインストールしたいドライバーを拾ってきます。そしてそれを実行します。すると解凍され、インストーラーが実行されますが、対応していないとか出て失敗します。
しかし、ドライバーは解凍されていますので、それを開きます。
当方がインストールしたドライバーはデフォルトでは以下にありました。ドライバーのバージョンと Windows のバージョンによって分かれています。
C:\NVIDIA\DisplayDriver\354.56\Win10_64\International\Display.Driver
この中にある HP 用の .inf である nvblwi.inf を書き換えるのが今回の作業です。
次に、デバイス マネージャーを開いて、K2200M (ドライバーが当たっていない状態では Microsoft Basic Display Adapter) のプロパティを開き、ディスプレイ アダプターのハードウェア ID をメモ帳などに貼り付けておきます。当方の 8570w では以下のようになっていました。
PCI\VEN_10DE&DEV_13B3&SUBSYS_176B103C
先ほどの .inf を開きます。
%NVIDIA_DEV.13B3.2256.103C% = Section035, PCI\VEN_10DE&DEV_13B3&SUBSYS_2256103C
のすぐ下に以下のように書き加えました。
%NVIDIA_DEV.13B3.176B.103C% = Section035, PCI\VEN_10DE&DEV_13B3&SUBSYS_176B103C
あと、Strings に以下のように書き加えておきます。NVIDIA_DEV.13B3.2256.103C = "NVIDIA Quadro K2200M "のすぐ下です。
NVIDIA_DEV.13B3.176B.103C = "NVIDIA Quadro K2200M "
これだけで完了です。
デジタル署名の強制を無効にした状態でドライバーをインストールする
さて、インストールですが、こうやって .inf を書き換えたことによって、ドライバーはデジタル署名されていないことになってしまったため、そのままではインストールできません。以下のようなエラーが出ると思います。
そこで、ドライバーのデジタル署名の強制を無効にした状態でインストールする必要があります。
そのためには Advanced Startup で再起動する必要があります。以下の様に行います。
- スタートメニュー
- Settings
- Update & Security
- Recovery
- Advanced Startup
- Restart Now
すると青い画面にいろいろな選択肢が表示されるので Disable driver signature enforcement を探します。現在は以下のように進んでいけばいいようです。
- Troubleshoot
- Advanced Options
- Startup Settings
- Restart to change Windows options such as:
- Restart
- Disable driver signature enforcement
Windows が起動したら、その状態でドライバーをインストールして、再起動します。途中ドライバーがデジタル署名されていない旨の警告が出ますが了承します。
再起動してインストールできていることを確認します。デジタル署名はされていませんが仕方ないです。それで不都合があるならやるべきではありません。
GPU-Z
ベンチマーク結果
これには大満足です。大体 K2100M は Fire Strike 1774 でしたから、約 2.22 倍のパフォーマンスになりました。GeForce GTX 960M 並みってことろでしょうか?
3DMark Fire Strike 1.1
3922
3DMark 11 無料版デフォルト設定
P5509
問題点
65 W の発熱はすさまじく、完全に放熱が追い付いていません。あっという間に上限温度に達してしまいます。
GPU-Z で確認すると、最大で 93 °C に達しているようでした。
90 °C を超えると PrefCap Reason (Performance Capped Reason) Thrm となっている通り、自動的にクロックダウンされているようです。幸いなことにコアクロックがいくらか制限されるだけのようなので、それほど遅くなったとは感じません。
発熱は心配ですが、これ以上できることもないので、自動パフォーマンス制限に任せておき、壊れたらもう 1 つビデオカードを買うぐらいの覚悟で使っていくことにします。そのころには安くなっているでしょうし。
一連の動画
一連の作業を動画にまとめておきました。詳細な分解作業などはチャンネル内にあります。